ヒロヤ、映画をツクル。
BOTTO PROJECT

ヒロヤ、映画をツクル。

没頭プロジェクト第2弾。
今回は若手の映画監督として活躍するヒロヤをウツワツクルがプロデュースします。
本コラムでは企画から撮影、そして上映会まで、ヒロヤが没頭するプロセスを連載していきます。

映画

#01 没頭プロジェクトの新シリーズが始動。札幌の若き映画監督、ヒロヤをウツワツクルがプロデュース

#01 没頭プロジェクトの新シリーズが始動。札幌の若き映画監督、ヒロヤをウツワツクルがプロデュース サムネイル

2024年10月某日。北海道科学大学の未来デザイン学部・メディアデザイン学科に通う山本寛也くん(以下、ヒロヤ)が札幌市・中央区のウツワツクルを訪れ、まっすぐな眼差しで語り始めました。「映画監督として、没頭プロジェクトを進めたい」と。20歳の青年の話を詳しく聞くと、映画づくりにもっと没頭したい。いつも企画はひとりで考えることが多く、アイデアを膨らませづらいから、着想の仕方やアイデアを膨らませるところから協力してほしい。

そんな相談を受けた私たちは、応援せずにはいられません。ウツワツクルでは、早速ヒロヤの没頭プロジェクトを始動することにしました。ウツワツクルによるプロデュースのもと、ヒロヤの主導で企画から脚本づくり、資金調達、撮影、編集、集客、上映会まで一気通貫してプロジェクトを進めていきます。


“自分がいない世界”をつくりたい

北海道科学大学の2年生で、放送芸術部の部長を務めるヒロヤは、主に映画監督として日々映画づくりに没頭しています。そんな彼にとって映画は「自分がいない世界」を創作できるひとつの手段になっていると言います。

「僕は自分がいない世界に興味があって、その世界をつくるのが好きなんです。映画をつくる過程で、僕自身がキャストとして出演しなければ、新しい世界をつくりあげることができる。自分がいる世界やコミュニティが嫌いというわけではないんです。友人はもちろん、周りのみんなのことも好きですし、根暗になって1人になりたいというわけではない。

ふとした時に、今目の前にいる人たちが、自分と関わっていなかったとすれば、どんな顔をしているのか、自分がいない世界でも、きっと楽しいんじゃないか、と考えることがあるんです。そう考えてみた時に、『自分がいない世界をみてみたい』と思うようになりました」

きっかけは、中2の冬に友人4人で撮り始めたスマホ動画

そんなヒロヤが映画づくりに没頭しはじめたのは中学2年生の冬でした。

「中学2年生の冬に、友だち4人でカラオケに行きました。その帰りに、なんとなくスマホでカメラを回しはじめて、『なんか(映像作品を)つくってみるか』となったのがきっかけです。それまで映像作品をつくったことは1度もなかったので、何も知らない状態からはじまりました。ひとつの映像作品にするためには脚本が必要で、ロケ地を選定したり、撮影した映像を編集したり、ポスターをつくったり。決して映画とは言えないかもしれないですが、5分の短編映画をつくったんです。それが全部楽しくて、夢中になって取り組んでいました。

その中でも特に動画の編集が楽しくて、のめり込みました。動画編集の場合、引き算でつくっていくという考え方があると思うんです。撮り溜めた何本もの動画をひとつの長〜い動画にしてそれを切り刻んでいって、違和感がないように繋げたりする。その作業が、ある意味神様になったかのような感覚で気持ち良くて、これが世界をつくるってことなのかと思いました」


没頭状態が生み出す、実践での体得

スマホ世代のヒロヤは撮影だけでなく、編集作業もスマホで完結させていました。

「動画編集は無料の編集アプリを使っていました。作品にはそのアプリのクレジットが入ってしまうんですが、とにかく作品をつくりたかったので、ツールはなんでもいいと思っていました。学生なのでお金がなくて、編集の仕方や脚本の書き方とかも基本的には全部自分で調べて実践しながら学んでいきました。考えてみると、これまで映画のつくり方を調べたことはないです。自分たちがつくったものが映画と呼べるのかはわからないですが、当時はそれで良かったんです」

映画づくりにもっと時間を割きたいけど

大学生のヒロヤにとってはもともと自分で選んだはずの学生という道が、映画づくりという文脈から外れてしまうこともあり、日々時間が足りないと感じることも多い。

「大学にはある種の逃げとも言えるんですけど、人生の保険をかける意味で進学しました。いわゆる学歴社会っていうのは昔ほどじゃないのかもしれないですけど、大卒というステータスは持っておきたいなと。加えて私が通っている大学には放送芸術部という映像作品を制作する部活がすごい魅力的で、映画にも没頭できると思い、進学を選びました。

ありがたいことに大学からの依頼でイベントや大学の紹介、その他記録用の映像撮影といった仕事をいただいて、結構忙しい日々を過ごしています。その仕事自体も楽しいですし、やりがいを感じたり、大学側から信頼もされている証だとは思うので続けたい気持ちもあるんですが、一方で『あれ、俺って映画をつくりたいのでは?』と考える瞬間もあるんです。映画づくりにもっと時間を割きたいけど、かといって大学を辞めるという選択はできない。そういった葛藤があります。

それでも夢は映画監督

いまのところ会社員として働くという道は考えていない、というヒロヤに今後の進路について聞いてみました。

「まだ会社員として働いたこともなければ、職業として映画監督の仕事をしたことがあるわけではないので実際のところどうなのかはわからないですが、やっぱり人生を楽しみたいです。会社員という道は、イメージだけになってしまいますが、楽しくないんだろうなって思うんです。安定はしているのかもしれないですけど、まずは映画をつくる道を選びたいです。

ただ、矛盾するようですが、職業としての映画監督で食っていけるとは思っていないんです。職業としてやっていくには並大抵のことではないというのもわかってしまっている自分がいます。それでも、今のところの夢は映画監督です」

今後、ヒロヤの没頭プロジェクトはどのような企画になっていくのか…お楽しみに!


プロフィール 山本寛也

北海道出身。20歳。2018年冬、幼馴染の友人とスマホを使った動画制作の活動を始め、映像の世界に魅了される。2022年春、同友人と映画制作を企画する。同い年のカメラマンと出会い、メンバー3人の有志映像制作団体「ASPF」を結成。映画「叫びたいくらい青色の、」を制作(脚本、編集を担当)した。同作はNPO法人映画甲子園主催「高校生のための eiga worldcup 2022」にて最優秀編集賞を受賞。自身二作目となる映画「満員電車に染まる頃には。」では周囲の協力のもとユナイテッド・シネマ札幌にて劇場公開を実現。現在は北海道科学大学放送芸術部にて部長を務め、映画制作を学んでいる。


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