心をほどく、演技の時間。
COLUMN

心をほどく、演技の時間。

演技は、ただ技術を磨くだけじゃない。心を開き、楽しむことで、自分をもっと深く知ることができる。俳優・演技指導者の山崎大昇が、演じることの楽しさや内面との向き合い方を、優しく語りかけます。

メンターコラム

#02 頑張りたいけど楽をしたい

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講師の予定が入っていた演技レッスンが急遽、お休みになった。
すぐに思ったことは「ラッキー!」と。。。

おい、お前は演じるのが好きなのだろう!
自分の為の演技練習会だろう!

なんと怠惰なのだ!
なんと向上心がない奴なのだ!

と、同時に思うのです。
人間は面白いなぁ。

この怠惰な自分を知っているから、
なるべく設計段階(スケジュール設計段階)で頑張るしかないように考えて未来のスケジュールの導線を作っておきます。

自分はどうせ考え事をしていたら忘れ物をするのだから、〇〇はココに置いておく!と決めておく。
無意識にそこに置いちゃうようにしておく。

どうせ自分は忘れ物をしてしまうのだから、そこを治そうとするのではなく、
忘れてもいいように予め諦めておく。

というか、忘れ物をしないようにしよう!という注意力をもっと違うことに使いたい。

自分は怠けてしまう。
今日みたいに、怠けられるとラッキーだと思う。そこを直そうとはしない。
怠けた自分にガッカリしないようにする。

だいたい自分は、大したことないのだ。
自分の人間性みたいなものに期待しないでおく。
期待すると聖人君子のような立ち振る舞いが出来なかった自分にガッカリするから。

聖人君子(せいじんくんし)は、高潔な人格と優れた道徳性を持つ理想的な人物を指す言葉です。完璧な道徳的行動を取る人を表現するときに使われ、現実的には達成が困難な理想像を示します。

そんな、すぐに忘れ物をする怠け者の自分は、好きなことには夢中になるという性質がある。

それはそれは、とても楽しくて一生懸命になる。
しかもかなり単純だ。

であれば、それをしている自分を好きになろう。
で、それ以外の自分には期待せず容認してあげる。

好きなことに夢中になるために、
あまり他のことで悩まないように設計しておこう。

忙しくしちゃうと、せっかくの楽しい好きなことにも集中できなくなっちゃう。
違うことに気を遣って、結局好きなことも楽しめなくなっちゃう。もったいない。

好きなことに夢中になってる自分には期待しちゃう。好きなことには頑張っちゃうからね。上達したいからね。勉強だってしちゃうもんね。

それ以外の自分には期待しないでおこう。あまりプレッシャーはかけないであげよう。苦しくなっちゃうからね。

好きなことで夢中になっちゃって、
それをどんどん続けちゃって、気がついたら自信がついちゃって、もう誰に何を言われても思われても気にならないぜ!って思ったら、そこからはどんどんプレッシャーかけてあげよ。
「おい!お前の好きはそんなものか?」
「おい!もっともっとだろ」って。

好きなことだとね、こだわっちゃうから追い込んでもプレッシャーがかかっても大丈夫になります。やり遂げたいと思えるようになります。もちろん大変なんですよ、どんなことも。だけどね、好きじゃないことでプレッシャーかけられると、やっぱり頑張りたくないよね。

頑張れる自分になるには、やはり準備が必要な気がするのです。

頑張れる自分に自信を持てて、期待出来るようになるまでは、好きなことに没頭しながら自分とはどんな性質なのかを知っていこう。

山崎の場合、生きていて起こる全ての、大変なこと、理不尽なこと、辛いこと、嫌なこと、苦しいことは、演技に活きると思っているので、結構ラッキーと思ってその環境や状況を観察しちゃいます。

わ、俺ってこんなに取り乱すんだぁとか、人にきつく当たっちゃうんだとか、余裕ないとこういうミスしがちだよなぁ、みたいな。

でも、その時に思っています。

「ふふふ。また演技うまくなったに違いない」と。(上手くなってるかは分からないけど、そう思い込んでいる)

そんな風に生きてます。