橋本 義宏 | HASHIMOTO YOSHIHIRO
2004年7月29日生まれ。EGG所属。 小学六年生〜高校三年生に劇団フルーツバスケット在籍。小学生の頃に不登校の経験があり、その時間よく本を読んでいた。中学生の頃小説執筆に興味を持ち、オリジナル作品、二次創作小説などに挑戦する中で脚本執筆に出会う。お話を作り続けられるよう日々勉強を続ける。 好きなジャンルは死別後に残る希望を描いた感動系、”普通”から逸脱したシュールなコメディ系など。<趣味>妄想 <座右の銘>案ずるより産むが易し
<経歴> 映像作品「さかなやき」脚本と監督。自主制作舞台「革命」「ワガママユーレイ」脚本と演出
稽古中にも色々と問題は生まれます。
舞台の諸々の準備、袖幕を設置するのどうする?
当日受付どうする?
金庫の釣り銭はどうする?
お客さんの脱いだ靴はどうする?などなど。
袖幕はウツワツクルにある備品でなんとかなりました。金庫のお金もウツワツクルが貸してあげることでクリア。お客さんの脱いだ靴もウツワツクルのキッズスペースにブルーシートを敷いて対応。当日受付スタッフはプログラムEGG映像演技クラスで一緒だった萌花ちゃんにお願いしたよっしー。
うん、安心です。
しっかり任せられる大人のお姉さんにお願いすることができました。
前日に仕込みを済ませ、納得いくまで稽古を重ねる。
音響の確認。役者との効果音の合わせ。最後まで宣伝活動を続ける。
確実に翌日の本番に向かって進んでいく。
そうして迎えた8月25日(日)本番当日。朝から稽古を重ねる。良いドキドキが漂っている。
沼の3人からどんどんと「もっとこう出来るんじゃないか?」とアイデアが飛び交う。それを稽古しながら実験して、馴染ませて、形にしていく。お昼を済ませて、*ゲネプロへ。
*ゲネプロとはドイツ語のGeneralprobe(ゲネラールプローベ)の略称である。演劇などにおいて、初日公演の本番間近に本番同様に舞台上で行う最終リハーサル「通し稽古」のことを意味する
このゲネを終えると、もう通し稽古は出来ず泣いても笑っても本番を迎えることになるのである。
全員の緊張感が高まる。この空気が堪らんね。
そして開場時間を迎える。たくさんのお客さんが当たり前のように、ウツワツクルを会場としてやってくる。当たり前なのだが、その異様な光景に少し戸惑うスタッフ山崎。
廊下で受付を済ませ、当日パンフレットを受け取り、入り口で靴を脱ぎ、キッズルームのブルーシートに靴を置き、席に着く。
お客さんがどんどん入ってくると、そこは紛れもなく劇場であり「ウツワツクルを劇場に舞台をやりたい」が現実のものになっていく。
15:00になり、1部公演がスタート。35分間。
その場に居る全員が、よっしー君達が作った「ワガママユーレイ」の世界に没頭していく。
響いていることを空気で感じる。届いていることを肌で感じる。
大きなミスもなく1部公演が終了。
公演終了後、お客さんと交流を交わすメンバー。皆さんが楽しんでくれていたようで、直接「面白かったです」を受け取り緊張が解け喜びに浸る。劇団の後輩には「自分も何かやってみたい!」と刺激を与え、同じ年のライバルには「本気の作品を見た。かなり面白かった」と絶賛された。
やはり、作品は人に届けて初めて形になります。
作りあげる過程ももちろん価値がありますが、それは誰かに届けるための制作過程。誰かに届けるためだから、必死でもがいて良いモノにしようとする。
届いたことを実感し、ホッとしたよっしー君。休憩して、上がったテンションを冷ましていく。本番の緊張から解き放たれて、みんなで一度リラックス。そうして、初めての本番という特別の次には、最後の本番という特別が近づいてくる。
これまでの2ヶ月間の稽古。試行錯誤、紆余曲折しながら作り上げてきた形のない作品。
これが次、開場するともう後は終幕するだけ。
全員が徐々にボルテージを上げていく。円陣を組んで気合い入れ。主演の下山結愛ちゃんが掛け声をかける。
「元気はありますか〜?一個終わったからって気ぃ抜いてんじゃね〜ぞ〜?いいか〜最後ですよ〜?いきますよ〜!頑張るぞ〜おー !!」
2部公演がスタート。
丁寧に噛み締めて演じる役者陣。
窓からの陽の入り方が、昼から夕方に、そして夜になっていくことで舞台の表情が変わっていく。自然の照明が何か神秘的な時間を演出していた。若い彼らの尊い輝きのように。
この日しかない光で、もう2度と再現することの出来ない儚い輝き。決して大きな作品ではないが、確かに存在して、観に来てくださったお客さんに鮮烈な輝きを残したであろう。
無事に最後の舞台も終了した。
沼のメンバーであり出演者である優空斗君のお母さんはその日、北海道マラソンで42.195kmを完走してからの鑑賞となった。満身創痍で会場に現れた優空斗君のお母さん。「疲れてたから来るかどうしようか迷ったけど、来て良かった」と素敵な笑顔で足を引きずりながら会場を後にした。
舞台終了後、お客さんに感謝を告げ撤収作業開始。元々舞台装置など大したものもないので、すぐに撤収作業が終わる。その後はよっしー君、みんなに飲み物を買ってきて軽い打ち上げを開催。お客様から頂いた差し入れを食べながら楽しい時間。この数ヶ月を振り返り、1人一言ずつ。
みんながそれぞれに思っていた数ヶ月。それぞれに悩んで、考えて、進んだ数ヶ月。みんな参加して良かったと。若い彼らの何かをやってみるを応援するにあたって、何かに妥協したり、諦めたりすることはさせたくなかった。これからきっと彼らは色々な環境や状況で妥協や諦めをする事がある。
それは当然だ。
だけど、妥協せずに諦めずにやりたい事に没頭すると、どうなるかを知っていれば、きっとそんな時にも何か踏ん張れるはず。周りとは違っても自分の中にだけある「確か」なものが実感できるはず。
没頭するということは誰かに理解されることではなく、共有できることでもない。自分の中にだけある価値観や実感なのだ。それは周りの他人がどうこう出来るものではない。
そんな想いで応援させてもらった。
それを彼らがどう受け取るかは彼ら次第。
これからの彼らがとても楽しみです。
引き続きウツワツクルでは彼らを応援するし、どんどん新しい人たちも応援します。
追伸、稽古期間中に20歳なったよっしー君は、打ち上げでお酒を一缶。
プシュっ。
ゴクゴク。
ぷは〜。
うめ〜!!!!
と世界一美味しいお酒を楽しんでいたのでした。
舞台後に、ラジオ「ウツワをツクル」に没頭プロジェクトを終えたよっしー君が出演。
自主制作舞台「ワガママユーレイ」を振り返って語ってくれました。
是非、こちらも併せてお聴きください。
終わり。