
才能ってなんだろう。
「あの人には才能があるから」
そう言いながら、どこかほっとしたことはないだろうか。自分がやれない理由として、その言葉を使ったことが。でも、才能って本当に、生まれた瞬間から決まっているものなんだろうか。
たぶん、そうじゃない。
才能は、出会いと環境の中でかたちをつくっていくものだと思う。褒められて自信がついたり、否定されて諦めそうになったり、そのたびに揺れながら、なんとか生き残ってきたものが「才能」と呼ばれているだけで、最初からそこにあったわけじゃない。

だとすれば、「才能がない」という言葉も、正確じゃないことになる。「その才能がまだ育っていない」か、「まだ合う環境に出会えていない」かのどちらかだ。
こんな話がある。小学生の頃、夜空を見上げたら、月の周りだけに雲が見えた。月明かりに照らされた部分だけが浮かんで見えて、それが綺麗だった。だから、そのまま絵に描いた。でも先生には「手を抜いた」と怒られた。
鍵が、合わなかった。

教える側にも、評価する側にも、それぞれの「鍵」がある。その鍵が合わなければ、どんなに良いものを持っていても伝わらない。「自分には才能がない」と感じるとき、それはあなたに才能がないんじゃなくて、まだ合う鍵に出会えていないだけかもしれない。逆に言えば、合う鍵を持った人に出会えれば、ずっと眠っていたものが一気に開くこともある。
だから、やめてしまうのは早い。

ウツワツクルが大切にしたいのは、二つの才能だ。
一つは、やめない才能。うまくいかなくても、評価されなくても、好奇心を信じて動き続けること。たった一度の評価が、自分のすべてじゃない。評価は後からついてくるものだから。
もう一つは、やめさせない才能。誰かが諦めそうになっているとき、そこで終わらせないこと。いつかその人の鍵が合う瞬間が来るかもしれないから、それまで一緒にいられること。そして、予想外の場所に光るものを見つけられる目を持っていること。
才能とは、そういう育ちを待ち続けることの中にある。
『ウツワをツクル』編集部